◆ピッチ補正はズルですか?
・ピッチ補正をズルだという人の意見。
→歌がへたなのを補正でごまかしてる。
・ピッチ補正はズルじゃないという人の意見。
→プロでもやってること。良い作品にするために整えるのは当然。
こんな意見を良く聞きますが皆さんはどうですか?
今回はピッチ補正がズルか否かについて考えてみたいと思います。
※歌には本来的に上手い下手はありませんが、今回はあえてそういう表現を使用しています。ご理解お願い致します。
◆ピッチ補正とは
「ピッチ」とは日本語でいうと「音高」と言います。絶対的な音の高さを表します。
音楽では特にピッチが不安定なボーカルについて補正を行うことが多いと思います。
ボーカルについて、ピッチ補正を行うこと=正確なメロディに合わせることで、ボーカル楽曲の完成度をあげることができます。
※映像はボーカルシフター
こんな風にピッチを整えることができます。
◆ピッチ補正をする理由
日本語を母国語とする民族は音の高さに敏感です。なぜなら音の高低がアクセントになっていて、その高低差で相手が怒っている、楽しんでいる、悲しんでいるを察知するからです。
さらに、歌謡曲の時代からボーカルを聞く、ボーカルを目立たせる、真似して歌うという文化が発展してきました。それだけ日本語を母国語とする人達はボーカルの完成度(?)について厳しいのだと思います。
さらにさらに、日本のポップスはリバーブ(≒エコー)をつけたがらないようです。リバーブは音を美しく響かせるという効果の他に、あいまいな部分をごまかす効果もあります。カラオケでエコーをガンガンにしたら上手に聞こえるあれです。リバーブが少ない構成では、よりピッチのアラが目立つのです。
洋楽は日本のポップスに比べて、歌を目立たせる構成ではないしリバーブも比較的多いと言われています。楽曲はリズム重視であり、日本語ほどピッチについて気にしないのだと思います。※個人的感想です。
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メリット・デメリットについて はこちらの記事で
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◆本当にズルなのか
ズバリいいます。どんなにピッチ補正をしても、本人の実力以上には絶対になりません。ピッチ補正は"100%全部間違えずに歌ったとしたらこうなっただろう"を再現しているだけです。
歌はもともとの歌の勢いとか、声の張りとか、感情の込め方のほうがよっぽど大事な要素なのです。あとリズム。ピッチだけ整えても、人の心を惹きつける歌にはなりません。ピッチよりも重要なことがもっとたくさんあるのです。
さらに言えば、ピッチ補正の技術によっても差がでます。ピッチ補正がいまいちだったり、自動補正とかを使っちゃうような技術者は元よりダメにしてしまう事があったりします。気をつけよう。
◆プロもやってること?
企業は利益を求めますので、効率重視な方へ偏重するのは仕方ないと思います。
歌へたなアイドルを何十時間も拘束して完璧に歌えるまで録音重ねるなら、ピッチ補正したほうが効率よく楽曲をリリースできます。空いた時間でアイドルさんはネット配信等でファン獲得もできます。一石二鳥です。
仮にそれで出来上がりが8割くらいの完成度でも良いのです。残りの2割はクリエイターとかじゃないと気づかないようなことだし、一般リスナーはそんなところ気にしません。「それより早く歌リリースして!」と思うのではないでしょうか。
良い作品にしたいと本当に思うなら、100%完璧なものを作りたいなら、補正などしないほうが良いに決まってます。
ですが、昨今は何を作るにもスピードが重視されている風潮がありますよね。何十時間も歌の練習をするくらいなら、補正できるところは補正してという考えでも間違いではないと思います。
「誰かがやってるからやって自分もやっていい」だと、ちょっと考えが浅はかかなと思います。やってないプロもいます。やる、やらないは自分の信念に従ってきちんと考えて欲しいです。
◆おわり
もし仮に「自分の演奏ではない」ことがズルだとしたら、DTMで使う音源や自動演奏してくれるVSTIも全てズルになってしまいます。オーケストラも楽器全部リアルで買って揃えて演奏して録音しないとダメって事になっちゃいますね。
歌唱力は一朝一夕で身につくものでは無いことも確かです。仕事の合間に趣味で音楽制作をしている方は、時短の為にピッチ補正を前提にして制作するのも全然ありだと思います。この忙しい現代で何十時間も練習してる暇などないのです。
と、少し話しがそれましたが結局の所、もともとの歌が良くないとピッチ補正してもそんなに良くはなりません。ピッチ補正したくらいでプロになれるならみんなプロになってますよね。
まとめると、
「ズルといえばズルかもしれないけど、大騒ぎするほどのたいしたズルでもない」
はい、練習しよ練習~!
おわり。