あかりの作曲・mix日記

作曲・mix、制作中に気づいた大切なコト。制作裏話。

私がピッチ補正をオススメしない理由。

◆ピッチ補正って何?

界隈ではよく聞くと思います。ピッチとは簡単に言うと、狙った音が出てるかどうかです。ピッチ補正(修正)とはその狙った音にピッタリになるように補正をかけていきます。

 

akari0523.hatenablog.com

 

 

◆ピッチ補正をオススメしない理由

 ・歌が上達しなくなる

ピッチ補正してもらう前提で毎回歌っていると、歌の上達は止まります。ピッチ補正はあくまでも、頑張った結果99%いいけど、到達できなかった残りの1%を補正する為に使うものです。

99%はぜひ、がんばって見てください。


・ボーカルの質感が変わる

補正をかけると質感が必ず変わります。極端にやるとケロケロしてきます。

完成した音源だけ聞いているとわからないかもしれませんが、mix師はこういう細かい質感とも常に戦っています。それがいいって人もいますが。


・補正に頼ることで歌全体が適当になる

補正してもらおうと思って歌うと、歌全体がおろそかになります。私自身も経験があります。「補正はしてもらえないんだ」と思って歌ってみてください。気持ちは歌に出ます。がんばって歌った気持ちはきっとリスナーに届きますよ。

 

おろそかな気持ちは歌にでます☆

 


・ズルしてるとか言われる事がある

ピッチ補正に関してはメジャーアーティストも普通に使っていると言われています。私も別にズルとは思いませんが、たいして練習もしないで、補正に頼ってうまく見せようとするから、ズルしてるとか言われてしまうのです。

ちなみにですが、某男性アイドルグループは、人力ボカロよろしく歌声を作ってたりしたそうです。これはズルでしょうか。笑

 

加えて、みんなやってるからやってもいいと言うのは理由としては浅はかではないでしょうか?やるなら、確固たる信念を持ってやってほしいです。


・生歌を聞いた時ファンが減る

すっぴん美人。

  

・つまらない音源になる

補正した音源は確かに聞きやすくうまく聞こえますが、優等生過ぎてつまらないです。

多少飛び出してる方が私は聞いてて楽しいです。完全に好みの問題です。

 

・めんどくさい

 ピッチのとり方も歌い手それぞれにクセがあり、それを考慮した上で補正するのはとっても手間がかかります。

一箇所補正すると、その補正のせいで次もおかしくなり、その次も、という感じで際限がなくなるのです。

 

依頼主「ピッチ補正してください」

 私 「補正しました」

依頼主「もうちょっとしてください」

 私 「だいぶやりました」

依頼主「なんか変になった戻してください」

 私 「初期化しました」

依頼主「やっぱりこっちがいいです」

 私 「にゃあ☆」

 

ちなみに、私は自動補正は信用していないので、補正は手作業でやっています。自動補正したボーカルはちぐはぐになることが多いです。「この人はこういう風に歌いたいんだろうな」とか想像力を働かせて、一つ一つ直しています。

 

手抜きで自動補正しているmix師さんもいるとかいないとか...気をつけましょう。

  

 ◆補正した歌はつまらない

私は地下アイドルが好きで、アングラなライブに行ったりしていました。かなり小さめの会場で、時には観客よりも出演者の方が多いぐらいです。

でも、その舞台に立っているアイドルさんはとてもキラキラしていて、「この子は最後まで間違えずに歌えるだろうか、ダンスも頑張って!」ってハラハラしながら見ていてとても楽しいです。最後まで歌いきった時の達成感がとても伝わってきて、こっちまで嬉しくなります。

 

mix依頼時、ピッチ補正するのが当たり前になっていますが、補正されたボーカルは正直つまらないのです。高名なmix師ほど、ピッチ補正も上手なのはわかりますが、優等生過ぎて、「まあ、最後までずっとこの感じだろうな」って思ってしまい、最後まで聞く気になりません。同じ歌を同じように歌ってる人もたくさんいます。歌自体聞き飽きてるし、サプライズ感がないのです。

 

◆ほんとに必要?

例えば商用に使うとかなら、体裁を整えるために必要ではあると思います。ですが、歌ってみたっていう趣味活動としてやるなら、ピッチ補正までして体裁を整える必要があるのでしょうか。ただうまく見せかけたいからという理由だけでしょうか。

 

何のためにピッチ補正をしますか☆

 

 むしろ、商用にしないからこそ、歌い手のそのままの生の歌でもいいんじゃないかと思います。ピッチ補正をしてもしなくても、あなたを好きになってくれる人は変わらないと思います。どうやって取り繕っても、あなたの"歌の本質の魅力"は変わらないです。

メジャーシーンでも当たり前だからとか、みんなやってるからではなく、ちゃんと自分自身で考えて目的を持って欲しいです。

 

人って、歌っていて気持ちが高ぶればピッチは上がり気味になるし、気持ちが下がればピッチもさがります。歌詞やメロディの流れによってもピッチは一定ではないのです。自動補正や、ピッチの正確さだけを追い求めると、歌に込めた気持ちを台無しにしてしまうことだってあります。その、微妙なピッチのゆらぎにこそ、その人の歌の個性や情感があるのだと思っています。(個性で片付けるなとか言われそうですが笑)

補正をするならそこまで考えた上で私はやりたいです。

 

◆たまにはライブ感のある歌ってみたを作ってみよう!

 私がmixした作品はピッチ補正がかかってないことが多いです。(おまかせ依頼の時は特に。)よく、「ピッチ補正甘いよね」とか言われることがありますが、そうですね。ピッチ補正は必要最低限しかしてません。

ひねくれ者なので☆

 

ですので、私がmixした作品を聞く時は、「この歌い手さんは最後までちゃんと歌えるだろうか」とドキドキしながら聞いてみてください。「最初ミスったけど、最後はめっちゃ良かった!」とか、「危なっかしいな~><」とかなったりするのを聞いて、きっと楽しいと思います。路上ライブ感覚で楽しんでみて欲しいです。

 

歌はヘタ可愛いのが一番可愛いです☆

  

 まあでもね、なんだかんだここまで言ったけど、結局やりますよね。ピッチ補正。笑

かの有名なアニメ映画の監督さんも「大事なことは、だいたいめんどくせえんだよ」って言ってたし。

もちろん、要望があれば私もちゃんとやりますよ!おまかせください!

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