◆あるある。歌い手×mix師トラブル。原因って...
先日、とある無償mixをしている方から、歌い手の方から何度も修正をさせられて、泣きそうだ(実際、泣いていた)という相談を受けました。
いわゆる、無限修正地獄ですね...
昔からこういうトラブルが絶えないそうです。どうして起きてしまうのでしょうか。
今回は、歌い手✕無償mixの場合について、考えてみたいと思います。
◆熱意が違う
本気で歌いたい人が、気楽にmix楽しみたい人に頼んだとします。たぶんうまくいかないと思います。歌い手側のあーしてこーしてという注文に、mix師側が熱意を受け止めきれないからです。
mix師からすれば、昨日今日会ったばかりの顔も知らない人に、音楽の熱意をぶつけられてもひくわ~...ってなると思います。出会ったその日に付き合ってくださいとか言われるようなものです。無理です。
そこまでやる義理も無いし、別にその歌い手の事が大好きってわけでもないので。
気楽に歌いたい人が、本気でmixしたい人に頼んだとしたら?
この場合はたぶん、mixは出来上がるとは思います。でも、クオリティ的にアレになってしまうかも知れないので、mix師側が「もっとちゃんと歌ってよ!」とか文句が出たり、「公開してもmix師の名前は出さないで」とかいう事になるかも知れません。
mix師の実績に関わってくるので、あんまりアレなものが自分の実績のひとつになるのはアレだなと思うはずです。
本気でやりたい同士、気楽にやりたい同士で組んだら良いマッチングだと思います。
Twitter等で相手を探す時は、相性の良さそうな人を選んでみましょう。
趣味とかね☆
◆技術が違う
ざっくり言えばカットモデルと同じですよね。 無料でカットやカラーしてもらえる代わりに、いろいろ注文はできなかったはずです。
歌い手さんの注文を、あれやこれやこなせる技術があるなら、とっくにプロのエンジニアとして活躍してます。そんなに簡単な技術ではないのです。ノイズを無くして欲しいならノイズを無くせる機材を買ってください。
いろいろ注文したい方は、どうぞ有償のmix師に頼んでください☆
◆目標が定まってない
歌い手側がどういうmixにしようか定まってない場合、最悪です。昨日言った事と、今日言った事が違うとか、何パターンも聞いてみたいとか、あらゆるパターンを提出させられます。で、結局どれも気に入らないとか...
...ね!☆
楽曲制作も同じです。クライアントの目標が定まっていないと、クリエイターはめちゃめちゃ苦しみます。いい加減にしてください。
私はコンペに応募する時も、クライアントの意思が明確じゃない案件は避けるようにしています。2秒のジングル募集に5秒が当選とかあたまおかしい。
目標が定まらない時はとりあえず、他の歌い手の同じ作品を聞いて、気に入ったやつをmix師にも聞かせてあげてください。それを"リファレンス"と言います。すると、だいたい同じような感じで仕上がってくると思います。
◆注文多すぎ
極端に言えばやってもらえるだけありがたいのですから、あれこれ注文を付ける権利など無いはずなのす。(サークル活動で一緒にやるというなら話は別です。)
趣味同士でやるのなら、お互い好き勝手に作って終わりなのですが?
一体何を勘違いしているのでしょうか?
歌い手様はそんなに偉いのでしょうか?
それって完全にを見下してますよね?
道具とでも思ってますか?
無償mixをあんまりナメないで欲しいです。
「GarageBand」とか「Tuneme」とか、スマホ一台でmixなんてできるんだから、もう無償mixなんて頼まないで自分でやったら良いと思います。
◆最初の確認が甘い
mixサンプルの提示や、修正回数、納期など、あらかじめお互いに確認しておくこと。
こちらは特に、mix師側で気をつける事です。ごめんなさい、私も気をつけます...
納期付きバージョン2笑🍊
— あかり▷依頼🍊 (@akaringo0523) July 23, 2019
修正回数と納期はあらかじめして使います(*'ω'*) pic.twitter.com/5cHFV2e5B3
◆伝える方法を工夫しよう
「1番のAメロは儚く、サビに向かって盛り上がるイメージでお願いします!」
ん、まぁ言いたいことはわかりますが、じゃぁ具体的に数値で教えてくださいと言いたくなります。(正直イラッとします笑)
リバーブの種類は?大きさは?オケとボーカルの音量バランスは?
何も伝わってきません。mixは基本的に"聞きやすくバランスを取る"ことが主目的なはずなので、楽曲全体を大きく動かして、変化させていくようなことはできません。
楽曲全体の盛り上がりを調整するのは、どちらかと言うと編曲者、指揮者(ディレクター、ボカロP)の仕事ですよね。楽曲の盛り上がり等は、2mixのカラオケの時点で、ほとんど決まってしまっています。
mixはバランスを整えるお仕事です☆
そして、歌ってみたの場合、歌い手が指揮者です。指揮者は自分の思い描く音楽のイメージを正確に伝える必要があります。
「盛り上がるイメージ」はわかりますが、どうやって盛り上げるのかを伝えてください。それが指揮者の役目です。
mix師が思う盛り上げ方と、歌い手が思う盛り上げ方が、違うものだということをまず認識してください。
例えば、
「1番のAメロは儚く、サビに向かって盛り上がるイメージでお願いします!」
↓
「1番のAメロはリバーブなしかほんの少なめ、Bメロもそのまま進行して、サビで違うリバーブをひとつ追加してください。」
こう言い直したらどうでしょう?すごくわかりやすいと思います。
まあでも、そもそもmixで何をしているのか知らなければ、こうゆう指示は出せませんが...
リバーブとディレイの違いぐらい覚えてください☆
指揮者ってそうですよね。どんな楽器がどんな音色か、演奏方法なのか熟知している必要があります。
歌い手の方も、自分好みのmixをしてもらおうと思ったらmixの事をある程度知っている必要があります。
◆mixについてもっと知ろう
私はたまにmix進行の説明の為に、DAWのスクリーンショットを歌い手の方に見せることがありますが、だいたいみんな驚いて、何をしているのかわからないと言います。
勉強してください☆
依頼したmix師にDAWのスクショを見せてもらったらどうでしょう。自分の声がどんな風にいじくられてるか見ることができます。その時、教えてもらっても良いと思います。 本当に自分の好みのmixをして欲しいと思うなら、自分でもmixを勉強する必要があります。(ついでに技を盗んで、自分でmixできるようになったら良いかと!)
過去に自分でmixをしていて、難しくてやめてしまった、いわゆる"挫折組"(言い方笑)は、本当に丁寧に対応してくださいます。苦労がわかるので、依頼をお渡しした時も、たくさんねぎらってくださいます。私もやってよかったなと、嬉しい気持ちになります。
◆おわり
今回は、mix師目線で書いてしまいましたが、歌ってみた活動するのに、歌い手、mix師、動画師、全てひと通りやってみると良いと思います。それぞれの仕事がどんなに大変か分かれば、みんなに優しくなれると思います。
私もmixの説明などする時は、なるべくわかりやすく、歌い手の方に伝えられるように頑張ろうと思います。